ギリシャ旅行記 「エーゲ海の真珠 サントリーニ」
2011年11月21日(月) 記 : 鈴木 朗

サントリーニ(以下サントリーニ島)はギリシャの島の一つで、珍しい形状をしています。 地層が露出したこの島は、地質学や歴史が好きな方にとって、大変興味深い島だと思います。 私がこの島に魅了されたのは、紺碧の海から立ち上がる約300メートルの断崖に建ち並ぶ白い家並みでした。「 まるで東京タワーの先端の高さに家を建てて生活をしているようだ」と例えると大袈裟でしょうか?

アテネからサントリーニ島までの距離は約200km、南東の方角に位置しています。地図の下側にある大きな島はクレタ島です。

Google Map (旅行で使用したギリシャの地図)

資料 ウィキペディアから「サントリーニ島」

サントリーニ島の衛星写真です。三日月形のこの島は火山の爆発により形成されました。元は直径18キロの円形の島で、中央が噴火で吹き飛んだことにより、現在の形になりました。紀元前15世紀頃と推測されています。 その影響で滅んだと言われているのが、南に約100km離れたクレタ島です。 紀元前2000年頃、クレタ島ではミノア文明が栄えていましたが、サントリーニ島の噴火によって全てが埋もれてしまったという歴史があります。

似た話として、イタリアのナポリにあるヴェズヴィオ山の噴火を思い出しました。 高度な文明が一瞬で消滅した悲劇です。

高台からの眺め。大昔には海の部分にも大地があり、人の営みがありました。断崖の下に船が小さく見えます。この島へ訪れる方法は飛行機または船を利用します。船の場合は海岸から登って来なくてはなりません。

船で島に着いた旅行者がロバに乗って町まで上がって来ました。ロバは大切な人と物資の運搬役です。

複雑に入り組んだ町並み。人の家のテラスや屋根が歩道の一部になっている所がありました。屋根を歩くというのは、やはり違和感があります。ホテルへの帰り道が分からなくなったのは言うまでもありません。

遠くに見えるのはイアの町並み。地層の生々しさに息を呑みました。お気づきかもしれませんが、この島では水が大変重要で、下水に紙を流してはいけないというルールがあります。トイレットペーパーも同様です。

この不思議なドアは飾りではありません。ドアを開けるとどうなっているのか?と思い、近づいてドアを開けると、エントランスの無い下り階段がありました。

丸くて青い屋根の教会。このデザインが島の特徴です。島民はきっと信心深いのでしょう。島のいたる所に似たデザインの教会がありました。

サントリーニ島は、現在ギリシャの中でも有数の観光地です。今は、大昔の天変地異など感じさせないほど、静かな時間が流れています。 プラトンの書物、アトランティスの天災の起源になっているという諸説があります。真相は定かではありませんが、この景色を眺め、遥か昔に思いを馳せてみました。一瞬にして失われた文明はどのようなに栄えていたのでしょう。美しさと壮大さの隣に哀愁が漂う、それがこの島特有のイメージでした。

以上